星に願いを    #008

今年はナンチャラ座流星群とか別のナンチャラ座流星群とか

地球の近くに来て、たくさんの流れ星が見られた年だそうです。

そのうえ、金星、土星、すい星、木星、がお月様の周りに集まり月食も

あるそうで、天体観測の趣味の方には、たまらない年になりそうです。

小学生の時のことです。

毎年恒例の夏祭り(盆踊り)が小学校のグランドで行われる。

グランドの真ん中にやぐらを組んで,たくさんの色とりどりの提灯を付けたロープを

四方八方に伸ばし、提灯の灯りの下で櫓の周りをたくさんの方が踊りながら回る。

櫓の上では、ハチマキを締めたハゲ頭のオッチャンが、右手にスタンドマイクを握り

左手にはお酒の入った湯呑を持って「山陽音頭」をうなるように唄ってる。

僕は、盆踊りなんて全く興味がない。

目当ては屋台!

田舎の変わらない毎日の生活のなかで向こうから、たこ焼き、わたがし、

おもちゃ屋さんがやってくる。

僕にとってはありがたい絶好のチャンスです。

浴衣を着て、ひと通り屋台を廻り、おこづかいをキッチリ使い果し、満足しての帰り道

偶然に近所の浴衣を着たK子(同級生)と一緒になり、手はつながないけど楽しい川沿いの帰り道です。

前にも、後ろにも人がいない。浴衣を着て下駄をはいた二人だけの薄暗い夕方の世界である

まるで映画のワンシーンのようである。

時間が止まるといいな?と、思ったらK子の足がピタッと止まった。

小学生である、ちょっと早い気がする。

目を閉じて、手を合わせるK子。

きた!きた!きた!

K子が小さい声で

流れ星流れ星」

慌てて真似をする僕。

流れ星が消えるまでにお願いをすれば叶うという。

「ねぇ、ねぇ、ヒデくん、何をお願いしたの?」

「K子は何をお願いしたの?」

「う~ん ナイショ ヒデくんはなになに?」

「う~ん ヒミツ」

だって手を合わせ、目を閉じれば出てきた言葉は

南無阿弥陀仏

流れ星
流れ星

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